FXへの規制が緩和されたこともあって外貨の取引が活発に行われるようになっています。2000年代に入ってからの金融市場でもっとも規模が拡大して取引方法といってもよいでしょう。
少ない資金からはじめることができる、ローコストでハイリターンが期待できるといったメリットがとくに強調されていますが、超低金利時代が続いている現在、短期間のハイリターンだけでなく長期的な資産運用のメリットとしても注目されています。
多くの国の通貨では日本よりもずっと金利が高いからです。オーストラリアドルなどはとくに人気が高く、個人投資だけでなく企業やファンドの間でも投資の選択肢として活用されています。
リスクを回避するための選択肢の一つ
FXをはじめとした外貨の取引のポイントは通貨が安いときに購入して高いときに売却することです。当然といえば当然ですが、1ドル=80円のときに購入して120円に値上がりすれば単純計算で1.5倍の利益が得られることになります。
このわかりやすさがFXの人気を高めている要因でもあるのですが、その一方でリスクも当然生じます。1ドル=100円の段階でもっと上がる(円が安くなる)と見て購入したのはいいものの、逆に1ドル=80円になってしまえば損益が出てしまいます。ハイリターンな一方ハイリスクな面を備えているのです。
そこでリスクを軽減するため、同じ外貨を取引する際に売りと買いの両方を同時に行ってしまおうというのが両建てです。つまり1ドル=100円のときに買うだけでなく売りも行うのです。
この両建てを行うことで相場がどちらに動いても損をしないで済む、円安になれば買った方が利益になり、円高になれば逆に売った方が利益になるということになります。
どんなメリットがある?
ところが冷静に考えてみるとこの両建てには根本的な問題があります。同じ通貨の売り注文と買い注文を同じ金額行えば上がっても下がってもプラスマイナスゼロなってしまいます。これでは購入する意味がありません。
ただこの両建てにはいくつかのメリットがあります。両建てを行った段階で市場の動向を見極め、円安へと傾き始めたらドルを買い、逆になったら円を買うという見極めができるのです。そしてどちらかの流れに決まりそうになったもう一方を決済すれば利益をさらに増やすことができます。
そのため、相場を見極める目と判断力が求められる取引方法でもあり、初心者にはあまり向いていないとも言われています。逆に取引額が多い人は節税対策に役立てているケースなどもあり、さまざまな活用方法がある取引ともいえるでしょう。それだけに特徴やメリットを踏まえた利用が求められます。